大宜味村の玉城望さんと若子さんご夫妻を訪ねました。お二人は2000年に大宜味村登り窯を作りました。それ以降、お二人とも数々の賞を受賞し、大活躍されています。玉城さんご夫妻工房は国道から山手に向かって30分ほどの距離で、タクシーの運転手さんも迷ってしまうような場所でした。周りには木々が生い茂り、この工房にたどり着くまで目印も一切ありません。確か大保ダムの近くだったと思います、頂上付近に近づくと急に視野が広がり、青々とした沖縄の空の下に石積みの壁と赤瓦の屋根でできた「登り窯」が現れます。豊かな自然が織りなす風景が、個性あふれるこの登り窯の景色をいっそう際立たせます。
沖縄の焼き物は1600年代に朝鮮の陶工が、琉球の湧田村(わくたむら)で製陶技法を伝えたのが、陶器生産の始まりだとされています。これらは無釉・低温焼成の焼き物で、「アラヤチ」と呼ばれました。壺屋焼は「荒焼(アラヤチ)」と「上焼(ジョーヤチ)」の二種に分けることができるとのことです。荒焼はいわゆる南蛮焼のことで、無釉又はマンガン釉を掛 けた酒甕や水甕などの大きなもの
工房の前には大きな食器の他にシーサーなども置いてあり、様々な焼物を幅広く制作をされていました。工房の扉近くにあった沖縄の伝統模様の唐草模様を大胆に施したデザインは、とても存在感がありました。沖縄では陶器や瓦は、人々の生活のなかで大きな役割を果たし、いつも大切な産業の一つとして位置づけされてきたようです。
敷地内にある傾斜地を利用して作られた登り窯の傍にいってみました。登窯は文字通り、斜面に沿って登るような構造の窯で下から薪を燃やしていきます。火をくべる部分は1カ所ですが、斜めに上がっていく釜の作りになっていて、火窯から近い部分と遠い部分で焼き上がりが変わる様になっています。
玉城さんご夫妻はとても感じが良くて、表現力が豊かな作家さんです。器はもちろんのことシーサーも作るので今後も活躍が楽しみです。
Akemi Koyama
長野県生まれ。ハワイパシフィック大学卒業。卒業後、シェラトンワイキキホテルにて勤務。帰国後京都ブライトンホテルとザ・リッツ・カールトン京都のコンシェルジュとして勤務.
京都の知識・情報に精通し、また食や工芸、美術全般に関しても深い関心を持っている。コンシェルジュとしての高い手腕を評価され、「おもてなし」に関する講演も多数開催している。京都観光おもてなし大使にも任命されている。
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