2020/05/01

友常理貴ブログ


大徳寺瑞峯院の門を潜ると、それは大きな大きな椿の木が目に飛び込んで来ます。
椿の木がこれほど大きな幹に成長するにはどれほどの年月が経っているのでしょうか。
時代時代の様々な国の変遷をこの椿は見てきたのでしょう。

早朝の参禅が終わりますと、大和尚様からお茶でも飲んで行きなさいとお声がけ頂きました。
四畳半の茶室に入りますと、釜から湯気が立ち上がり、良い釜鳴が聞こえてまいります。
当寺でおつくりになられた大徳寺納豆で、お茶を頂きながら、大和尚様は椿の話をして下さいました。

日本の椿は、もともとはヤブツバキという種類が主流でありました。
室町時代になると、中国から様々な椿が伝わってきました。
そして、茶室において、一輪の椿がとんでもなく映え、ワビサビの世界が構築されることを見出した茶人達はこぞって、珍しい椿を求めました。
その後も椿のブームはとどまることなく、江戸時代になっても天皇、公家、大名達が椿を求めました。
自慢の庭に、自慢の椿を植える。そうして長い年月を経て、今我々は目にすることが出来ます。
京都のお寺には、昔の日本人が愛でた椿が、大木となって、現代の我々を楽しませてくれます。
古木の椿達を眺めていると、私達に何か語りかけてくれているようです。

さて、瑞峯院の椿の種類は「加茂本阿弥」。
大和尚様いわく、創建当時に植えられたものだそうです。
瑞峯院は、大友宗麟が、徹岫宗九を開山に迎え創建した塔頭です。
宗麟が愛でた、椿なのでしょうか・・・。

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