平成時代の始まりに生まれた私は、体を動かすことが大好きで、アメリカの四大スポーツである野球、バスケ、アメリカンフットボールの三つをやってきました。見ていて派手で、格好良いものに憧れていました。一方で居合道や剣道のような己との闘いである日本の武道も、自分を磨けるものとして魅力的に感じております。
また、まわりの人と同じように流行りの音楽を聴いたり、友人とカラオケに行って好きな曲を歌って騒いだりするのも好きです。一方で茶の湯の落ち着いた雰囲気や邦楽と言った穏やかなものも好きです。
先日、「禅」と「茶の湯」の総本山である大徳寺様へ挨拶に伺いました。突然の訪問でしたので、玄関先でご挨拶をしてお暇しようと考えておりました。しかし和尚様が「まあお茶でも一杯」とおっしゃられ、茶室へと案内されました。
部屋に入りますと床の間には季節の掛け軸と花が生けられ、手取の釜が懸かっておりました。
程なくして、生菓子が運ばれてきます。和尚様と近況をお話したり、掛け軸の物語を聞いていると、目の前でお抹茶が点てられます。一服頂きますと振出をすすめられます。中には大徳寺納豆が入っており、もう一服どうぞとおっしゃられます。大徳寺納豆の名の通り、こちらで暑い夏に作られたものです。味噌のような、塩っけが意外とお抹茶に合います。不意の訪問にもかかわらずとても楽しいひと時でした。
東京オリンピック誘致以後、日本は「おもてなし」の国と言われておりますが、まさに「おもてなし」を実体験致しました。
あらかじめ客が来ると知っていれば、玄関や部屋を綺麗に掃除して、お花を生けて、お菓子を用意することは出来るでしょう。しかし、自分が予想していない時間、人が来ても、すぐに出迎えることができる準備をしておくことは大変難しいでしょう。
「おもてなし」とは、不意の客をも楽しませることでしょう。普段から来ぬ客を想って、モノの準備をしておくこと、そして心の準備をしておくことが「おもてなし」であり、「茶の湯」ではないでしょうか。
友常理貴のプロフィール
昭和63年(1988年)生。
大和古流二十一世当主友常天眼斎貴仁の三男として生まれる。
家傳の剣術、弓術、聞香、茶の湯など父から学ぶ
日本文化の発信に取り組む。
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