初めて投稿します。
私が唖撫驅という舞踏集団に参加して、もう45年も経ちます。
普通のホールや劇場等ではあまり踊りの公演をしようという意欲がわかず、昔から寺子屋の後やお寺の書院、帯屋の倉庫、廃校など、普段は舞台とは言えない場所を探しては踊ってきました。
しかし、今だに道半ばと感じて、決して満足することはありません。
新しい場所には、その場にしかない歴史と人の記憶があるからです。
場のエネルギーが身体に引き込まれると、そこから踊りが立ち上がってきます。舞を得る力が場の振動にあるかのようです。
もうひとつ、私達がこだわっているモチーフは、しっかりした人のカタチというよりはもっとプリミティブな生き物、たとえば虫や蛙のような存在です。
ここ10数年は「洛虫洛外図」と銘打ってきましたが、蛙や虫の見る夢はどんなものだろうとイメージしています。
小さく見えるコオロギのような虫でも、彼らは、実は町家の座敷で千年生きてきて、今も平安京の盛衰を思い出し夢みているのかもしれません。
それとも蛙や蛇たちは、実は自分が「龍に変身する」夢をみているかもしれないと考えています。
バリ島で手に入れた蛙のお面は、最近気に入っている衣装です。お面の蛙が憑依するのではなく、身体の中にいる蛙のDNAがお面に呼びだされて染み出してきます。
染み出した力が、振動となって手や足に伝わり、踊りが立ち上がってくるのです。
松村 芳郎 ダンサー(唖撫驅)
Comments